民話と紙芝居の家
ご挨拶
江戸と越後を結ぶ三国街道の宿場町として栄えた群馬県、猿ヶ京温泉。商人や旅芸人などが行き交い多くの民話が語り継がれました。民話と紙芝居の家では、地元に埋もれていた五百以上の民話の生語り、のぞきからくり、絵巻物、影絵を通しての紙芝居の歴史を説明、戦前を含む約二千点の紙芝居の展示や実演、手作り紙芝居の紹介などを行っています。
のぞきからくり
のぞきからくりは写巾1間(180センチ)ほどの屋台の上に美しい挿絵の看板をかかげ、下部には5個か6個の覗き穴をつけ、それにレンズ、ガラス玉をはめて、子供達がそこから覗きます。箱の中の正面の絵が拡大されて見え、10枚ほどの絵がきわめて簡単な仕掛けで1枚ごとに紐で上方へ引き上げられます。次から次へと引き上げられ、次から次へと変わり一編の物語を見せてくれました。からくり屋台の横に語り手が立ち、ムチで屋台を叩いて拍子をとりつつ、からくり節という古風な哀愁を帯びた口調で、節おもしろく筋を歌い、同時に紐を操作して、中の絵を切り替えます。当時の出し物には「不如帰(ホトトギス)」「佐倉宗吾一代記」「八百屋お七」などがありました。
のぞきからくりの今
そして、文明開化の波に乗り、大衆娯楽施設の充実と共に、一屈の改良が加えられ、ガス灯やカーバイトランプ、更に電灯とその光源の発達変化によって、より華麗な教えが画かれ、立体感を深めるように工夫されて現存のものとなったのでした。やがて、活動写真(映画)の登場と、子供達には紙芝居が巡回すると衰退がはじまり、昭和初期(10年頃)まではまだ祭礼、縁日などの演し物として命脈を保つてきましたが、戦後は完全にその姿を消してしまいました。当館に展示してある「のぞきからくり」は、新潟県西蒲原郡巻町に現存している本物を参考に作成したもので、大きさは本物の約1/2。内部のからくり機構などはほぼ正確に再現してあります。
絵巻物
絵巻物はハンドルを巻き取りながら両手の巾で絵巻を広げて見ます。右からだんだんと過去になり、左手に未来があります。当館では竹取物語を展示してあります。
影絵
紙や木で作られた人形や動物などに後方から光を当てて、その影をスクリーンに投影したもの。当館では猿ヶ京の民話「かっぱのくすり」を実演しています。
紙芝居
膨大な数の紙芝居の中には、現代の文化的紙芝居の元となった街頭紙芝居、今井よねのキリスト教紙芝居、あるいは仏教、神道紙芝居などの歴史的紙芝居をはじめ、戦前の文芸紙芝居なども資料として見られます。現代紙芝居や、当館の手づくり紙芝居も収蔵されています。
民話の囲炉裏
猿ヶ京に昔から伝わる沢山の民話。語れる人も少なくなったこの貴重な文化遺産を後世に伝えるため、映像記録として残しました。「民話の囲炉裏」では、映像でこの語り部たちの不思議なお話、楽しいお話や歌などをご覧いただけます。どこか懐かしく、ほのぼのと聞き入ってしまう数々の民話を囲炉裏端に座って、どうぞゆっくりお過ごしください。
-Information-
民話と紙芝居の家
〒379-1403 群馬県利根郡みなかみ町猿ケ京温泉1150-1
Tel.0278-66-1874
https://minwa-kamishibai.com
営業時間/9:30~17:00 ※午後4時までに入館してください。
休館日/毎週火曜日、木曜日 ※年始、祝日は、営業します。
入館料金/大人800円、小中高校生400円、幼児無料 ※グループ特典20名以上割引